
不動産を贈与する場合には、名義を贈与する人(贈与者)から贈与を受ける人(受贈者)へ権利の移転登記をする必要があります。
贈与は法律行為であり、贈与する人の意思のみでは成立せず、贈与を受ける人の受諾の意思の合致が必要となります。
贈与は、相続と異なり、贈与する人の意思、つまり、ご自身が元気なうちに財産を処分することができる点がメリットと言えます。
財産をご自身の意思で処分したいという点では、遺言書の作成があります。こちらは、相続人に対してであれば、相続の手続となりますし、相続人以外の人に対してであれば、同じく贈与(遺贈といいます)となります。
ただし、贈与は税金の問題も大きいので、贈与する人、受ける人双方が税金について理解しておく必要があります。
また、不動産の贈与の場合、住宅ローンなど抵当権が設定されている場合、債権者である金融機関等の承諾(贈与する人が返済する、贈与を受ける人が債務を引き継ぐ等)が必要となります。
〇費用(報酬+登録免許税等実費)
所有権移転(贈与)
報酬:55000円~
登録免許税:固定資産評価額×2.0%
登記簿謄本・登記記録 等
※不動産価格や不動産の数等により報酬加算があります。
※その他、贈与する人の住所が変わっている場合には住所変更登記
※贈与に併せて設定されている抵当権を引き継ぐ場合など抵当権の登記(設定・抹消)が必要になります。
〇相続との比較
贈与 | 相続 | |
登録免許税 | 固定資産評価×2% | 固定資産評価×0.4% |
国税 | 相続税 | |
不動産取得税 |
税率4%(住宅3%) ※適用条件により軽減特例措置あり 参照:兵庫県 |
かからない |
備考 | ・生前に財産処分が可能 ・税率が高い ・相続財産の先渡し側面あり ・課税されなくとも申告必要 (暦年贈与除く) |
・相続人が遺産分割により取得 (遺言を除く) ・贈与より税率が低い ・相続税の特例がある ・課税されない場合は申告不要 (配偶者控除利用は除く) |
贈与税の選択制度について
不動産の場合、暦年贈与(基礎控除額110万円)では、課税対象になる可能性が高いため、相続時精算課税制度(基礎控除額110万円+特別控除額2500万円)の利用を検討することになると思いますが、この制度は名前のとおり、相続時に清算する制度です。
これは、相続時に、贈与を受けた人が贈与した人の相続人である場合に、贈与した人が亡くなって相続の際に、他の相続財産に、今回贈与した財産(贈与時の評価額)を合算して計算するという制度です。
よって相続財産が多い場合には、相続時に課税される可能性があります。また、この制度を利用する場合は、贈与を受けた人が、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の管轄税務署に、申告する必要があります。
なお、税金については、司法書士は相談に乗ることができない(税理士法に違反する)ため、お伝えできることは制度的なご説明にとどまりますので、詳しくは税務署や税理士さんに相談することをお勧めいたします。
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