会社を設立しようと思うきっかけは、事業を拡大したい、売上が伸びてきた、共同事業を営みたい、社会的信用力を得るためなど、様々ですが、個人事業との相違、メリットデメリットがあります。
詳しくは別の機会にしてここでは概略に留めたご説明になりますが、会社の設立をお考えの場合には、理解をしておく必要があります。
次に、会社を設立する場合には設立登記(商業登記)をしなければなりません。 事業目的が許認可を要するものであるか、本店所在地はどうするか、資本金はいくらにするか、株式会社にするのか持分会社にするのかなど、最初に準備すべき内容がいくつかあります。
会社の憲法である定款作成から、登記申請までには1か月ほどの期間を要します。 また、許認可を要する事業である場合、許認可手続は司法書士では行うことができないため、行政書士や他士業との連携が必要となります。
株式会社の設立
〇費用(報酬+登録免許税等実費)
報酬:99000円
登録免許税:最低15万円~(資本金の額×0.7%)
その他実費:定款認証手数料(3万円~5万円)※
電子定款の電磁的記録の保存、同一情報の保存
登記簿謄本、印鑑証明書(代表取締役)
※公証人費用
合同会社の設立
〇費用(報酬+登録免許税等実費)
報酬:77000円
登録免許税:最低6万円~(資本金の額×0.7%)
その他実費:登記簿謄本、印鑑証明書(代表社員)
株式会社と合同会社(合名会社、合資会社は割愛)については、以下にまとめていますのでご参照ください。税法上の優遇等などは、税理士さんにお問合せください。
表1 株式会社と合同会社の比較表
株式会社 | 合同会社 | |
意思決定機関 | 株主総会 | 社員の決議 |
所有者 | 株主(出資) | 社員(持分) |
経営者 |
役員 | 社員 |
代表者 | 代表取締役 | 代表社員 |
任期 | 最大10年 (重任でも登記) |
なし |
決算公告 | 必要 | 不要(決算申告は必要) |
設立費用等 |
登録免許税15万円~ |
登録免許税6万円~ |
株式会社は、会社の所有(株主)と経営(取締役等)の分離を想定した会社であり、経営者は経営に集中することができます。
所有と経営の分離の意味は、経営者である取締役等は、自由に会社を経営できるわけではなく、取締役等の役員には任期があり、毎事業年度ごとに定時株主総会で、経営状況を報告し、株主の承認を得ることが必要となり、重要な事項については、定款の定めに従い、株主総会の決議を経て手続きを行うことが必要となります。
つまり、会社の所有者である株主は、経営者である取締役等に対する監視の役割を担っていることとなります。
また、他の会社形態と比べて社会的信用度が高いと言えます。
ただし、中小企業については、所有と経営が分離していないオーナー社長の会社形態が多いです。
合同会社は、株式会社に比べると会社の数は少ないです。こちらは所有(社員)と経営(社員)が一致している会社形態であり、人の繋がりが強い会社と言えます。
合同会社は、任期がなく、定時総会の開催が必要ありません。決議事項などは会社法上の制約が株式会社と比べて少なく、定款自治が広いため運営がしやすくなります。
社会的信用度は株式会社より下がりますが、Googleやアマゾンジャパンなど有名な会社が合同会社といったケースもあります。
その他、株式会社は設立の登記費用や役員の任期満了に伴う役員変更登記が必要となります。合同会社は設立費用が少し安くなる、社員には任期がないので登記が不要(就任や退任の場合を除く)になるなど、費用面では株式会社よりも安く抑えられます。
それぞれメリットデメリットがありますし、会社形態の変更(株式会社↔合同が一社)は手続きを行えば可能ですが現実的ではないので、設立の段階で、どの会社形態がよいかは十分検討する必要があります。
併せて、会社を設立した場合と個人事業主との相違(簡易的なものです)を下記表の2にまとめました。
表で比較すると、会社を設立した方が、節税対策や社会保険メリットが大きいように見えますが、ある程度の売り上げがないと税負担が増えますし、一度会社を設立した場合は、手続きの手間や経費は増加します。
上記の表1の「所有者」にあるように、会社は株主(合同会社の場合は、持分を保有する社員)の所有となります。また、やむなく会社を閉めることになった場合には、清算手続きが必要になるなど、費用(官報公告や清算手続、登記など)も時間もかかることとなります。
会社を設立が、ご自身の意向に沿うものかどうかは十分に検討が必要です。
表2 会社(株式会社・合同会社等)と個人事業との比較
会社 | 個人事業主 | |
所得・税金 |
所得税(所得税など) |
所得税(事業所得) 個人住民税 事業税 消費税 (一定まで免除あり) |
社会保険料 | 個人・会社折半 ※厚生年金(階層別) |
全額個人負担 ※国民年金(定額) |
その他 | 事務手続負担 (株主総会・決算等) 登記費用 損失繰越10年まで |
損失繰越3年まで (青色申告の場合) |
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